大事なのは格調と品格。ジブリの大博覧会に行きました。「もののけ姫」の名コピー『生きろ。』とそこに至る22の没案と、鈴木さんと糸井さんのやり取りがヤバいです。
積乱雲を見ればあの奥にラピュタがと、
街にドングリが落ちていればトトロがと
そんな妄想の中に生きてます(病気)。
さて友人の勧めもあり
昨日2016年9月11日まで六本木で開催されていた
『ジブリの大博覧会』の最終日に駆け込みで行ってきました。
もうですね、
めちゃくちゃ、良かったです。
宮崎駿監督主導の
作品の世界観に浸たれるミュージアムであるのに対し、
こちらは鈴木プロデューサー主導の
製作の裏側やアニメーションという仕事を
当時の資料を踏まえて伝える。
そんな展覧会でした。
オトナも猫バスに乗れたり
ゴリアテ?が浮いていたり。
特筆は
映画のキャッチコピーを決定する
手紙(FAX)のやり取りの展示です
(トトロ以降、糸井氏がコピーを手掛けています)。
味のある手書きの文章の端はしに
互いへの敬意や尊敬が感じられ、勝手に嬉しくなりました。
写真NGゾーンなので(お見せしたかったですが)
熟読しメモを取った内容をお伝えします。
以下は、映画のコピーについて鈴木さんの文章の一部です。
「宣伝文だからといって、大衆におもねってはいけない。
大事なのは格調と品格。
それが無いと映画はヒットしない。」
勉強になります。
この寄稿パネルのあとに
糸井さんにキャッチコピーをお願いする前と後の
要素を入れつつ
映画のポスターが配置されてます。
確かに
トトロ以前の、
トトロの
『このへんないきものは
まだ日本にいるのです。たぶん。』
に代表される
糸井さんのコピーの素晴らしさ。
素晴らしいと思います。
そして、そこに至るまでの手紙のやり取り。
喜々と展示を拝読しておりました。
さて
もののけ姫の名コピー
『生きろ。』
が産まれるまでの
日の目を見なかったコピー
も記載します(メモりました)。
元々、難産だったことは記事で知っていました。
しかし
3度に渡って決定が出ず
糸井さんもこうやって悩んで紡ぎ出していることを垣間見れたことは
変な話ですが励みになり、勇気を頂けました。
きっとご本人からすれば恥ずかしいし知られたくない部分と思いますが
(申し訳ありません。しかしベースには尊敬と敬意がございます)
何卒ご容赦ください。
初回。
「おそろしいか。愛しいか。」
「おまえには、オレがいる。」
「惚れたぞ。」
「ひたむきとけなげのスペクタクル。」
これらのコピーとともに、コピーについての解説が合わせて送られます。それを受けて鈴木さんからの返信があって。
2回目。
「だいじなものは、ありますか。」
「昔々は、今の今。」
上の2案が糸井さんとしては推してました。それ以外に
「おまえは、まぶしい。」
「死ぬのと、生きるの、どっちが好きだ。」
「死ぬなっ。」
「それでもいい。私と共に生きてくれ。」
「ハッピー?」
OKは出ず三度目の正直へ。
3回目。
「悪からでも善からでも、おまえを守る!」
「弓を誰にひく?!」
「あなたは、何を守る?!」
「なぜ、俺は生まれてきた。」
これでもダメ。
そして4回目。
「LIFE IS LIFE!」
「化けものだらけ。」
「神々は、なつかない。」
「森には、おそろしい神々がいる。」
「暴と愛の嵐。」
「人間がいなきゃよかったのか。」
『生きろ。』
4回目の中に、「生きろ。」がありました。
※ちなみに「生きろ。」と同じ原稿用紙に
「それでもお前は生きろ」
とも薄く書かれていました
(基本、1コピーごとに、1枚手書きで原稿用紙に書いてあります)。
つまり迷い悩みながらのコピー案であった様です。
トトロからの変遷を見るとどれも数案で決まっています。
実に22個の没の上に、『生きろ。』に決まりました。
これにしましょう!という鈴木さんからのFAXには
文章からも熱っぽさを感じました。
決定稿しか世に出ておらず、
その前の産み苦しみと鈴木さんの寄り添いながら一緒に進められている感じ、宮崎さんの凄さだけでない、
ヒットの裏側を少しだけ知ることが出来ました。
勿論ですが、これらのコピーは、
完成版を観てではなく
製作途中のいわばプロットの段階で
今も生き続けるコピーを産んでおられるところです。
ほんと凄いです。
糸井さんになりきって、没コピーを元に、もののけ姫を愉しむというのもありかもですね。
最後に。
公式グッズ店も見ましたが
鈴木さんの書道題字グッズが欲しいと思いました。
これとか。
これとか。
それで文字だけのTシャツ等を作っては、
と、商品企画の方と話をしたくなりました。
とにかく、観に行けて良かったです。
妄想のススメ。メッセージは受け取りました。